祈り何もない荒野。そこを見渡せる小高い丘に1人の女冒険家がいた。「またここに来てたの?」 後ろから聞こえた声に女が振り返ると、男冒険家が微笑んで立っている。 「ええ…」 「…まぁ、何度も来たくなる気持ちは僕も分かるけどね」 被っていた帽子を取り、男は祈るように帽子を胸に抱く。 ――かつてこの荒野には、人々で賑わう街が「あった」 しかしその平穏は一瞬にして崩れ去る。…たった一度の災害によって。 「魔物相手なら私達冒険家や警備兵、色んな対策は出来たはずなのにね…」 「うん。自然を相手に僕らは何も対処が出来なかった。一瞬にして…崩れていった」 愛する者、家族、友…失った人は数知れなく、また悲しみもそう薄れる事は無いだろう。 「でもさ」 男が荒野の一角を指す。そこには苗木を植えている人影があった。 「僕らは生きている限り、歩けるんだ。何度でも」 「…そうね」 微かに笑顔を見せ、2人は歩き始めた。 ※後書き※ RS色がかなり少ないですが一応アチャランサとシフ武です。 東北大震災から5ヶ月と数日。未だにその深い傷跡は癒えてません。 この大震災でRSで出会った友をなくされた方もいると思います。でも生きている限り、前へ進む事が出来ます。 今更だと思いますが、そんな想いを乗せて。 ジャンル別一覧
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